大切な家族を送るために

大切な家族を亡くした直後は、その悲しみに暮れる間もないほど、こなさなくてはならないことがたくさんあります。故人をゆっくり偲びたいという気持ちもあるかもしれませんが、事務的な対応の数々が、少しだけ悲しみを紛らわせてくれるところもあります。多くの人に見守られながら、故人が安らかに旅立てるように。見送った後で各所に迷惑がかかることのないように。最後に故人にできることとして、必要な手続きを1つずつこなしていきましょう。

もくじ
亡くなったことを証明する「死亡診断書」
縁が深かった人たちへ連絡を
葬儀社を選定し、葬儀を準備
死亡届と火葬許可申請書を提出
お通夜から火葬まで

亡くなったことを証明する「死亡診断書」

日本では、ほとんどの人が病院などの医療施設で亡くなります。臨終が確認されたら、まずは担当医師に「死亡診断書」を作成してもらいます。これは亡くなった事実を証明する大切な書類なので、入手したらすぐに複数枚コピーをとっておきましょう。

末期ガンなど重い疾患で在宅療養をしていて、自宅で亡くなった場合は、すぐにかかりつけ医を自宅へ呼んでください。同じく臨終を確認し死亡診断書を作成してもらいます。

直前まで元気だったのに、突然亡くなった場合は、かかりつけ医がいなければ、死亡の可能性を伝えたうえで救急車を呼んでください。この場合、念のために事件性の有無を確認しなくてはならないので、救急隊員は警察へ通報する段取りになっています。そのため、どのように亡くなっていても、救急隊員や警察が到着するまではご遺体に触れてはいけません。

その後、遺体は警察に運ばれて死因を調べられます。事件性がなく、正しい死因が判明したら、死亡診断書(死体検案書)とともにご遺体が戻ってきます。

それから、遺体の安置場所を探さなくてはなりません。病院の霊安室はあくまで亡くなった直後の一時的な安置場所で、預かってくれるのは数時間程度です。自宅、葬儀場、火葬場、専門の遺体保管施設など、適切な場所を探しましょう。

縁が深かった人たちへ連絡を

次は、故人の友人や関係者へ訃報を伝えます。エンディングノートなどで連絡先などがまとまっていればよいのですが、その準備がなかった場合は、故人のスマートフォンやPCメールなどから連絡先を探していくのが早いでしょう。電話、手紙、メール、SNS、今はいろいろな手段がありますが、伝えるべきポイントは同じです。動揺があるかもしれませんが、故人が生前にお世話になった人たちが知るべき情報はしっかりとお伝えしましょう。

まず、故人の名前をしっかり伝えること。そして、亡くなった日時と場所、遺体の安置場所、決まっていたら葬儀の日時と場所、差し支えなければ死因(無理に伝えることはありません)、そして喪主の連絡先です。

葬儀社を選定し、葬儀を準備

次に葬儀社を選定し、葬儀の準備を進めます。故人が生前に葬儀に対する希望をエンディングノートや遺言書に記していれば、それに沿って葬儀の形式を決め、葬儀社を選定しましょう。

すぐに決められない場合は、まずは安置所への搬送だけお願いできる葬儀社を探すという手段もあります。近くによい葬儀社はないか、病院関係者や近親者、近所の人に尋ねてみるとよいでしょう。

病院で亡くなった場合で、かつ宗教や近所の風習などの縛りがなければ、その病院が斡旋してくれる葬儀社を選ぶ方法もあります。たいていの場合、遺体の搬送はもちろん、死亡届の提出、埋火葬、法要まで一括で請け負ってくれることがほとんどだからです。葬儀社が決まると、プロの力で通夜や葬儀の準備をリードしてもらえます。

なお、最近では家族と親族、ごく親しい友人や知人のみで小規模に行う「家族葬」のニーズも増えています。ただ、人によっては「たくさんの人に盛大に送ってほしい」という考えもあるので、やはり最期の要望は生前に聞いておくのがよいでしょう。

死亡届と火葬許可申請書を提出

葬儀の手配まで終えたら、故人の本籍地、または居住地の市区町村に亡くなったことを知らせる「死亡届」を提出します。死亡診断書と死亡届は左右で1枚になっているので、医師、または警察から死亡診断書をもらったら、死亡届も速やかに記入しておきましょう。

 

なお、死亡届に記載するのは死亡届の提出日、亡くなった方の氏名や住所、世帯主名、亡くなった日時と場所、届出人の住所、本籍、署名などです。この署名欄には押印も求められるので、印鑑を忘れないようにしましょう。

 

亡くなった方の本籍を記入する欄もあり、以前は運転免許証に記載されていたのですが、最近ではそれがありません。自分の親であっても、本籍地までは知らないという人は多いでしょう。親族などに聞いてもわからない場合は、住民票を取得するなどして確認してください。相続の際にも必要になるので、ここで確認しておくと後でも役立ちます。

また、合わせて提出する「火葬許可申請書」に火葬場の名前を記入する欄があるので、欄外にメモしておくと便利です。

そして、死亡届とセットで提出するのが「火葬許可申請書」です。用紙は役場に置いてあるので、死亡届を提出する際にその場で記入することができます。なお、通常は葬儀と同日に火葬を行うので、この申請をして「火葬許可証」を交付してもらわなければ、諸々の手続きに移れません。

死亡届は、死亡の事実を知ってから7日以内の提出期限があります。また、死亡届は24時間受け付けられますが、火葬許可申請書は日中のみの受付なので注意が必要です。提出は葬儀会社に代行してもらうことも可能です。

お通夜から火葬まで

お通夜や葬儀は、葬儀社が主導して進行してくれることがほとんどなので、さほど構える必要はありません。家族は参列してくれる方々の出迎えや見送りなどをします。

事前に葬儀社と相談して決めるのは、誰が喪主を務めるか、受付などの役割分担、席次、焼香など全体の流れ、祭花壇の手配、会場の設営、弔電の管理などです。供花の名札の配置について、身内は問題ないと思いますが、友人や仕事関係の人についてどうするかは故人との関係性で決める必要があります。

また、火葬場の予約や手続きも葬儀会社に代行してもらうことがほとんどで、個人からの申し込みは受け付けてくれない火葬場もあります。

あわせて読みたい
認知症を“正しく”知ることから始めよう
認知症の約9割を占める「四大認知症」の原因と症状
「軽度認知障害(MCI)」と認知症と“関わりが深い”疾患
自分でできる認知症の“予防”と“チェック”
認知症になったご家族との向き合い方
介護保険で受けられるさまざまなサービス
頼れる介護。まずは要介護認定の申請から
みなさまの声を募集しています。

えんがわでは、認知症のご家庭の皆さまと、
認知症に向き合う高い志をもった
医療関係者と介護関係者をつなぎます。
認知症に関するお悩み、みんなで考えていきたいこと、
どんどんご意見をお聴かせ下さい。