介護保険で受けられるさまざまなサービス

投稿日:2023.06.08

少子高齢化が進む日本において、介護を必要とする高齢者の増加や核家族化の進行、介護による離職などが大きな社会問題となっています。そこで、介護を個人で頑張るのではなく、社会全体で支えることを目的に、2000年に創設されたのが「介護保険制度」です。自分自身や大切なご家族が認知症などで介護が必要になった時には、さまざまなサービスを受けるための支えになってくれます。

もくじ
介護を支え合うための介護保険制度
介護保険で受けられるサービス①「居宅サービス」
介護保険で受けられるサービス➁「施設サービス」
介護保険で受けられるサービス③「地域密着型サービス」
介護保険で受けられるサービス④「福祉用具費用の補助」

介護を支え合うための介護保険制度

介護保険制度は40歳~を被保険者とし、40歳になる月の前日を含む月から、介護保険料の負担義務が生じます。被保険者が納める保険料と、国・都道府県・市区町村の公費を5割ずつ充てた費用を運営費とし、さまざまな介護サービスの利用などに役立てられています。

被保険者のうち、65歳以上の人は「第1号被保険者」に分類され、要介護(認知症などを理由に日常全般に介護が必要な人)、また要支援(家事や日常生活において支援が必要な人)の方が保険適用の対象となります。

保険料を負担している40~64歳の人は「第2号被保険者」に分類され、介護保険法施行令第2条によって定められた16種類の特定疾病により、要支援・要介護の状態となった人が対象となります。

特定疾病とは、病的加齢現象(通常の老化に病気などが加わることで、心身の機能が著しく低下する現象)と関連する病気のことで、末期がんや初老期(40―64歳)における認知症などが含まれます。

介護保険は健康保険と同様、介護サービスを受ける際に、被保険者がサービス利用料の1~3割のみ負担し、介護保険で7~9割が補填されます。ただし、自己負担額は所得に応じて変わり、また介護サービスを必要とする度合いを示す「要介護度」によって、月の支給限度額が変わるので注意が必要です。

介護保険で受けられるサービス①「居宅サービス」

要介護・要支援の状態にある人が、介護保険を利用して受けられるサービスを「介護保険サービス」といいます。介護保険サービスは、「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」と、大きく3つに分けられます。

居宅サービスは、自宅で生活をしながら受けられる介護サービスで、介護福祉士やホームヘルパーが自宅を訪問してくれる「訪問サービス」と、利用者が日中介護施設に通う「通所サービス」があります。

また、看護師が自宅を訪れ、患者さんの病気や障がいに合わせ、悪化防止や回復のための看護をしてくれる「訪問看護」、介護老人保健施設の理学療法士が自宅を訪問し、リハビリテーションを行ってくれる「訪問リハビリテーション」もあります。

居宅サービスのメリットは、住み慣れた家にいながらプロの介護が受けられることでしょう。また、介護費用が比較的抑えられる点も魅力です。さらに通所サービスを組み合わせると、ご家族がひととき介護から離れられる時間ができるので、訪問サービスと通所サービスを上手に組み合わせて利用するのがよいでしょう。

介護保険で受けられるサービス➁「施設サービス」

施設サービスは、介護保険施設に入所した人に提供されるサービスです。

介護保険施設には、「特別養護老人ホーム(特養)」「介護老人保健施設(老健)」「介護療養型医療施設(療養病床)」「介護医療院」の4種類があります。

 

それぞれの入居には条件がありますが、共通するのは65歳以上であること、もう1つは要介護認定であることです。また、16種類の特定疾病に該当すれば、40~64歳の人も入居対象となります。

 

特別養護老人ホームは、「ホーム」と名が付くように、家庭の代わりに生活ができる施設で、終身にわたり利用できます。「有料老人ホーム」との大きな違いは、公的施設か民間施設かという点で、特別養護老人ホームは公的施設にあたります。そのため、自己負担額が比較的安く、また、要介護度と収入によって施設介護サービス費が決まるので、所得が低い人はより負担が軽く利用できます。

このように、メリットの多い施設なので、待機人数が非常に多く、「入りたい」「入れたい」と思ってから施設を探しても、実際に入居できるまでに数年かかってしまうのが難点です。

 

介護老人保健施設は、おもに病院で治療を終えた高齢者が、自宅生活に戻る前に入居する、自宅と病院の中間施設の位置づけです。医療法人や社会福祉法人が運営している場合が多く、医師や看護師、リハビリテーションのスタッフたちが、日常の生活支援のほか、医療ケアなど手厚くサポートしてくれます。

 

介護療養型医療施設は、長期療養が必要な高齢者向けの介護施設で、医療法人が運営し、病院に併設されているケースが多く、医師や看護師による手厚い医療ケアサービスが受けられます。

他の人と同室となる多床室型で、1人あたりの床面積基準が6.4㎡以上と狭いため、プライベートな空間を確保しにくいのがデメリットです。また、特別養護老人ホームと異なり、“生活の場”ではなく“療養の場”であることから、レクリエーションなどはほぼありません。なお、介護療養型医療施設は2024年3月末に廃止が決定しています。

介護療養型医療施設の転換先として、2018年4月に新設されたのが、「介護医療院」です。要介護状態の高齢者に対し、医療、介護、そして生活の場を提供することを目的としています。

大きく「Ⅰ型」「Ⅱ型」に分けられ、Ⅰ型は介護療養型医療施設に相当し、重い病気や認知症を発症した人を対象とした施設。Ⅱ型はⅠ型より心身の状態が比較的安定している人を対象とした施設です。

こちらも多床室のタイプですが、1人あたりの床面積が8㎡以上と、介護療養型医療施設より広く設定されており、入居者の生活を重視していることがわかります。

介護保険で受けられるサービス③「地域密着型サービス」

認知症の高齢者や中重度の要介護の高齢者が、住み慣れた地域で生活が続けられるよう、同じ市区町村内の指定事業者が地域住民に提供する介護サービスを「地域密着型サービス」といいます。

地域密着型サービスにはさまざまな種類があり、認知症患者さんに特化したサービスには、「認知症対応型共同生活介護」と「認知症対応型通所介護」の2種類があります。

 

認知症対応型共同生活介護は「グループホーム」とも呼ばれ、認知症患者さんが共同生活を送るための施設です。入浴や食事の介助や支援、機能訓練など24時間体制で援助を受けながら、家庭的な雰囲気の中で自立した生活を目指します。

 

認知症対応型通所介護は、いわゆる“認知症に対応したデイサービス”です。一般の通所介護では、認知症患者さんに対応していない施設がありますが、認知症対応型通所介護は、入浴や食事の介護や支援、機能訓練などの日帰りサービスを認知症患者さんのみに提供しています。

 

もちろん、認知症患者さんに限定しないサービスも数多くあります。

 

施設への通いを中心に、短期間の宿泊や自宅訪問を組み合わせて利用できる「小規模多機能型居宅介護」。

「夜間対応型訪問介護」では、18時から翌朝8時までの夜間帯にホームヘルパーや看護師が訪問し、排せつ介助や安否確認をしてくれる「定期巡回」と、転倒によるケガなどで急に介助が必要になった時に対応してもらえる「随時対応」の2種類のサービスを提供しています。

夜間対応型訪問介護で行うサービスを24時間体制で対応し、さらに食事や入浴の介助、療養上の世話をする「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」。

また、「地域密着型特定施設入居者生活介護」は小規模な有料老人ホームの入居者に、「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活保護」は小規模な特別養護老人ホームの入居者に、介護サービスを提供します。

介護保険で受けられるサービス④「福祉用具費用の補助」

介護保険は、人を介したサービスだけでなく、介護の際に必要な福祉用具のレンタルや購入費用にも適用されます。

歩行補助杖、歩行器、車いす、介護用ベッド、床ずれ防止用具、体位変換器などは「福祉用具」と呼ばれ、介護全般をサポートしてくれる担当のケアマネジャーと相談し、必要な用具とその理由などを記載した「福祉用具サービス計画書」を提出すれば、毎月の支給限度額内でレンタルができます。

利用者の肌に直接触れる、ポータブルトイレや入浴補助用具などは、「特定福祉用具」に分類され、レンタルではなく購入の対象になります。こちらは支給限度額とは別に、1年間で10万円の予算が用意されています。

また、手すりやスロープを設置するなど、自宅をバリアフリー化する際に生じるリフォーム費用も、一定の条件を満たせば介護保険が適用されます。

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