高齢者で起こりやすい薬剤性のアカシジア

独居で外出が少なくなり、食欲が低下しました。そこで、かかりつけ医がいろいろな薬を処方しました。すると、だんだんと落ち着かずパニック(?)になるということで当院を受診されました。
80代女性
独居で外出が少なくなり、食欲が低下しました。そこで、かかりつけ医がいろいろな薬を処方しました。すると、だんだんと落ち着かずパニック(?)になるということで当院を受診されました。
診察時、車椅子に乗っておられましたが、じっとしておれず、立ち上がり頻回に足踏みをし、奇声を上げて座るという行動を繰り返していました。さらに、「苦しくてもう死んだほうがいい」とまでおっしゃいました。
薬剤性のアカシジア
「薬剤性のアカシジア」だと思いました。アカシジアとは、「じっとしていられない」、「足を動かさずにはいられない」といった強い落ち着きのなさが生じる症状です。
そこで、処方薬をみると、高齢にもかかわらず、スルピリド50㎎3錠を毎食後服用されていました。
抗精神病薬のスルピリドによるアカシジアと考え、漸減・中止したところ、じっとしておれない落ち着きのなさは改善して、夜間も睡眠薬なしで眠れるようになりました。
アカシジアは薬剤の副作用で起きますが、ご家族は薬の副作用とは考えず、「落ち着かない」「精神状態が急に悪くなった」「ボケがひどくなった」と思ってしまいます。
そのため、患者さんは「この苦しさをなんで周りはわかってくれないのだろうか」と苦悶して希死念慮までも生じるわけです。
これで、今年に入って4例目の薬剤性アカシジアで、すべて女性です。
高齢者では注意が必要
高齢者では、ドパミンを抑制する抗精神病薬(リスペリドン、オランザピン、ロナセンなど)だけではなく、スルピリドやプリンペランでも容易にアカシジアが起きるので注意が必要です。
お薬が増えるごとに、精神症状が悪くなるようであれば、最近、追加された薬から徐々に減量・中止すべきでしょう。

宮崎医科大学医学部卒業。独立行政法人国立病院機構菊池病院(熊本)元院長。熊本県の認知症中核病院の専門医として、熊本県全域から訪れる多くの認知症患者さんを診療され、平成30年に熊本駅前木もれびの森心療内科精神科を開院。食事・サプリメント指導により患者さんの栄養状態を改善し、お薬の量を最小限にされ、精神面の安定・改善をめざす、栄養療法を主体とした副作用の少ない「やさしい医療」を実践されている。
