問診・診察時のチェックポイント

投稿日:2023.06.08

画像検査や血液検査など、体内の状況を正確に検査する方法はありますが、それと同じくらい診断の重要な決め手となるのが、診察時の患者の様子です。 診察室でのふるまい、受け答えの仕方からは、貴重な診断の手掛かりが多く得られます。

もくじ
診察時の様子で認知症のタイプがわかる
身体症状もチェック
本人だけでなく家族の問診も重視

診察時の様子で認知症のタイプがわかる

まずは、診察室に入ってくる時点から、患者の様子をよく観察しましょう。
以下が、各疾患における特徴的な所見です。

レビー小体型認知症・進行性核上性麻痺

前かがみで小刻みにゆっくり歩くようなら、レビー小体型認知症や進行性核上性麻痺などの皮質下性認知症(血管性認知症の亜型で、脳の表層がダメージを受ける)が疑われる。
姿勢が左右どちらかに傾いているのも、レビー小体型認知症の特徴。

前頭側頭型認知症

能面のような独特の表情や雰囲気。医師の前で腕や脚を組む人が多く、手や膝をさすり続ける、勝手に診察室を出る、おどけるなどの行動が現れる。また、自分が患者であると理解できず、診察室に入ってもなかなか座らないことも特徴的。
ピック病の場合は、無意識に目を大きく見開く「びっくり眼(まなこ)」もよく見られる。

アルツハイマー型認知症

ニコニコと挨拶をし、一見正常に見える。家族が心配して受診させているにも関わらず、本人は「問題がない」と答えてしまうのも特徴。

甲状腺機能低下症

顔が腫れぼったく見える。

身体症状もチェック

認知症の兆候は身体症状にも現れるため、以下のような確認が有効。

歯車様筋固縮の確認

肘を他動的に屈伸させたときに、歯車のような抵抗があるかを調べる。

アプローズサイン(applause sign)

検査者が2回拍手をし、被験者に真似してもらうもので、皮質下性認知症の診断に役立つ。

手指の構成課題

手指の形を模倣する構成課題は、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の診断に有用。

強制把握

差し出されたものを反射的に強く握るかを確認。

本人だけでなく家族の問診も重視

問診では、本人および家族から、大きく以下の4つのポイントについて詳しく聞きます。その際に、認知症のタイプを特定できるようなエピソードをよく確認しておきましょう。

<1.主訴>

記憶障害、うつ、アパシー(無気力)、不眠、幻覚・妄想、人格・行動の変化など、本人または家族が自覚する主となる症状を聞き取ります。
認知症では、一般的に新しいことを覚える記銘力が低下します。本人に病状の自覚がないこともあるため、家族への問診も重要で、記憶障害以外が主訴の場合も少なくありません。

<2.  背景>

家族歴、生活歴、既往歴などを聞きます。
うつ病や認知症の家族歴、生活習慣病や頭部打撲、飲酒の習慣、胃全摘手術などの既往。そして、炊事、買い物、着衣などの日常生活動作ができるかも確認します。

<3.  経過>

異常に気付いた時期やきっかけ、診察日までの経過や日ごとの変動、記憶障害や妄想、人格・行動変化の詳細、日常生活でとくに問題となる行動の変化などを聞きます。
急激に発症したなら、脳血管性認知症、徐々に進行しているならアルツハイマー型認知症、症状が変動しやすいならレビー小体型認知症が疑われます。

<4.認知機能、神経学的徴候>

失認、失行、失語、意識レベル、言葉の理解度、発話の流暢さなどを確認します。
発語がたどたどしい場合は、進行性非流暢性失語(しんこうせいひりゅうちょうせいしつご)や脳血管性認知症が考えられます。質問の意味が理解できず、オウム返しにするときは、意味性認知症が疑われます。

これらの診断後は、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)などの神経心理学的検査、CTやMRIなどの画像検査、血液・髄液検査などを行います。

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