日本高血圧学会の治療指針に対する疑義

投稿日:2025.09.25

同学会は7月25日、高血圧の新たな治療指針を発表しました。75才以上の目標値を従来の「140未満/90未満」から10引き下げ、75才未満の目標値と同じ「130/80」にしました。

もくじ
日本高血圧学会の治療指針
症例:80代女性

日本高血圧学会の治療指針

同学会は7月25日、高血圧の新たな治療指針を発表しました。

75才以上の目標値を従来の「140未満/90未満」から10引き下げ、75才未満の目標値と同じ「130/80」にしました。

変更前の基準値でも、高齢者では、意欲低下、うつ、イライラ、転倒、骨折などが多くみられ、脳梗塞のリスクになると言われていました。にもかかわらず、さらに下げるとはいかがのものかと思います。なぜなら、次のような症例をしばしば経験してきたからです。

症例:80代女性

いつも、掃除や洗濯物畳みなどをやっていらっしゃいましたが、ある日、尻もちをついてしまいました。幸い、骨折はありませんでしたが、用心のため施設に入所しました。

入所時、血圧が140でしたが、嘱託医が降圧剤のアムロジピン5㎎を処方しました。
すると、血圧は120台まで下がり、その結果意欲がなくなり、昼間も何もせずにボーッとすることが多くなりました。

1カ月後、退所しましたが、状態は変わりませんでした。
そこで、アムロジピンを中止したところ、ボーっとすることはなくなり、洗濯もの畳みや食後の後片付けもできるようになりました。

80代であれば、降圧剤で血圧が下がりすぎると、脳への血液循環がうまくいかず、脳の活動性の低下を招いてしまいます。

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