睡眠時無呼吸症候群(SAS)とうつ・認知症

投稿日:2024.01.22

Aさんは、自殺企図のため入院治療を受け退院しましたが復職できずに当院を受診。
Bさんは、10年間 精神科病院に通院加療されましたが、まだ半日勤務しかできず当院を受診。
Cさんは、5年前から他県の心療内科に通院して、転勤のため当院を受診。

もくじ
3名の共通点
睡眠時無呼吸症候群(SAS)と認知機能障害

3名の共通点

3名の共通点は、向精神薬の多剤大量服用、肥満、いびきでした。検査結果では、脂肪肝に加え、多血症(赤血球・ヘモグロビン高値)が認められました。睡眠専門外来での検査結果によると、全員、睡眠時無呼吸症候群(SAS)でした。

SASでは、睡眠不足になり、昼間の眠気、注意・集中力低下、意欲低下、抑うつなどの悪化をきたします。

そこで、CPAP(持続陽圧呼吸療法:写真参照)治療により、3名全員、うつ状態は改善しました。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と認知機能障害

一方、SASと認知機能障害は、いずれも加齢とともに増加し、SASがある場合、加齢に関連した認知機能障害をきたしやすくなります。

認知症におけるSASの合併は、レビー小体型認知症の35~60%、アルツハイマー型認知症の30~70%、それぞれ認められ、健常者と比べて2.2倍~16.5倍の発症率で、極めて高値であることがわかります。

また、米国の研究では、SAS症状がある人は、ない人に比べて軽度認知障害が平均13年、アルツハイマー型認知症が平均5年、それぞれ早く発症しました。

さらに、重症SASに対する3年間のCPAP治療により認知機能の指標であるミニメンタルテストの点数の低下が抑制されたことなどが報告されています。

したがって、認知症予防・治療のためには、SASの診断・治療が非常に重要だといえます。

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